2020年4月20日月曜日

【経済インサイド】東京五輪延期、ビッグサイトが使えない 死活問題に直面 2020/04/20 14:08  新型コロナウイルスの感染拡大と東京五輪・パラリンピックの1年延期に伴い、国内展示会の“殿堂”東京ビッグサイト(東京都江東区)の利用制限が長期化しそうだ。ビッグサイトの一部展示場が令和3年11月まで利用できなかった場合、五輪、新型コロナを合わせた損失額は約4兆円との試算もある。出展する企業にとっては営業機会の損失となり、経営に大きな打撃だ。  「展示会業界はトリプルパンチの大打撃。死活問題に直面」  業界団体の日本展示会協会は4月7日のプレスリリースで、苦境をこう訴えた。東京五輪の開催、新型コロナに加え、五輪延期の影響で、ビッグサイトの展示会が通常通り開催できない場合、「展示会業界、その周辺企業への甚大な被害はもとより、中小企業にとっては死活問題となる」と記された。  展示会には、設営業者や電気工事、コンパニオンなどの派遣会社、ケータリングなど、さまざまな業界がかかわる。  同協会の試算によると、今年11月までの延べ20カ月で、休止・延期された東京ビッグサイトのイベントの主催者、支援企業、出展社の合わせて8万3000社以上が約2.5兆円の売り上げを失う。さらに、五輪延期に伴う利用制限で影響を受けるのは、5万社以上、約1.5兆円に上るという。  東京ビッグサイトには、展示面積が最も広い東、西、南、そして約2キロほど離れた仮設の青海(あおみ)の4つの展示場がある。このうち、東展示場が東京五輪のメディアセンターとして活用される。現在、西、南、青海の3展示場は利用できるが、今後、警備上の理由や改修のために順次利用できなくなる。東京五輪が予定通り開催されれば、今秋から利用が再開するはずだった。五輪延期を踏まえた対応について、東京ビッグサイトの担当者は「現時点で決まったことは何もない」と話す。  東京ビッグサイトによると、今年10月から4年3月末まで、すでに150件のイベントが予約済み。これ以外に日程調整中のイベントが約250件あるという。利用制限期間が伸びる場合、さらに多くのイベント主催者との調整が必要となる。  東京ビッグサイトは、国内外を問わずさまざまな業界にとって、大商談会の場として知られている。  日本工作機械工業会(日工会)は、12月7~12日、第30回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2020)を開く予定だ。「機械をつくる機械」とも称される工作機械の見本市としては世界最大級の規模で、平成30年の前回は国内外の1000社超が出展、約15万人が来場した。  元年11月に出展の申し込みを締め切っており、今回の事態に日工会の担当者は「現時点では、予定通りの開催に向けて準備を進めざるを得ない」と、複雑な心境だ。  営業担当の従業員を何人も抱えられない中小企業にとっては、新規の商談の機会を逃すことになり業績に大きな影響が出かねない。  金型設計製作を手掛けるミヨシ(同葛飾区)も年に数回、東京ビッグサイトで開かれる展示会に出展する。同社の杉山耕治社長は「金型を実際に見てもらうことで、新たな仕事の契約が取れることも多い。ビッグサイトで展示ができないのは営業面ではつらい」と話す。  アニメファンにとっては、国内最大規模の漫画同人誌の即売会「コミックマーケット(コミケ)」の会場として知られている。通常は年2回の開催で、今年は東京五輪の影響で5月2~5日に開かれる予定だったが、新型コロナの影響で中止になった。同人誌の印刷を受注している、東京都内の印刷会社社長は「5月の中止は仕方がない面もあるが、その先の開催の見通しが立たないことが不安」と打ち明ける。  展示会の休止・延期が続けば、数多くの企業の経営難や倒産が予想される。さらに、首都圏の大規模な展示会場は、東京ビッグサイトのほか、幕張メッセ、パシフィコ横浜など数少ない。新型コロナが終息したとしても、いったん延期した展示会の新たな会場の確保は難しいという。  日本展示会協会は国に対し、展示会の再開に向けて明確なメッセージや防疫対策などの発信、海外からの出展者・来場者に対して日本の展示会への出展・利用を促進する支援策などを要望している。(経済本部 松村信仁) も

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