2020年4月11日土曜日

これに対し政府側は、コロナ担当の西村経済再生相を前面に立て、宣言の前提となった基本的対処方針を踏まえて「国民の日常生活維持の観点から、理髪店やホームセンターは必要だ」などと待ったをかけ、調整は2日間も続いた。  東京とともに指定されたのは神奈川、千葉、埼玉、大阪、兵庫、福岡の6府県。政府は8日午前に西村担当相と各府県知事のテレビ会議を開催し、具体的自粛策をめぐって意見調整を行った。  その席で西村担当相が「基本的対処方針を参考にしてほしい」と力説したのは、小池氏の突出に対する政府の苛立ちからだった。  新型コロナの基本的対処方針では緊急事態時の対応について、都道府県はまず外出自粛を呼び掛け、その効果を見つつ、「国と協議のうえ、施設の使用制限・指示を行う」としている。これを無視した小池氏の独走に、政府筋からは「政府と関係都府県との連携が乱れる」という懸念の声があがっている 西村VS小池」の様相に  東京以外の6府県の知事は、当面自粛要請はしない方針を表明し、政府と都のやり取りを見守った。テレビ会議の議論で西村氏は「自粛の効果が出る1~2週間後まで待ってほしい」と繰り返したが、小池氏は「それでは間に合わない」と反発。会議は「西村VS小池の様相」(他県知事)になったとされる。  会議後の記者会見で、小池氏は「1~2週間待てと言われたが、これは命の問題で、一刻の猶予もない」と政府の対応を批判。これに対し、西村氏は「専門家会議の見解を伝えただけで、『接触の8割削減』が実現困難となれば、早い段階でさらに強い措置をとるということもありうる」と説明に躍起となるなど、防戦一方となった。  法的に不可能なロックダウンにまで言及して買い占めなどの混乱を招いた小池氏の振る舞いに、「首相も苛立っていた」(官邸筋)とされる。加えて、事実上の強制ともなる業種指定での休業要請は「補償問題に直結する」との懸念も強かった。  その一方で、東京以外の6府県が政府に同調して自粛要請にとどめたのは、事実上の強制ともなる休業要請では、当該業種からの補償要求に対応できないとの不安からだ。「東京と神奈川は一体」と繰り返してきた神奈川県の黒岩祐治知事も、「小池氏の主張にはとてもついていけない」と反発した。補償問題で黒岩氏を含め各知事に共通するのは「対応したくても、東京とは財政力がまったく違う」との認識だ。  ただ、神奈川県に隣接する静岡県御殿場市のように、独自に市内の居酒屋やバー、ナイトクラブなどに休業を要請し、一定額の売り上げ減に対する補償を打ち出した自治体も現れた。それだけに、各府県知事も政府と小池氏の駆け引きを「なおハラハラドキドキで見守っている」のが実情だ。

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